天使とスズメとフランクファーター
前の記事「その笑顔に騙されてはいけない」で印象的なグレアムの笑顔のシーンについて書いているときずっと何かを忘れているような気がしてた・・・のが、タイトルの例の場面ですw
「そんなもの天使とスズメにくれてやる!」の名セリフを放つとともに、ハリーでさえも一瞬腹立たしさを忘れて見惚れるんじゃないかっつーくらいのとびきりの笑顔で走り去って行くグレアム。数ある好きなグレアムのシーンのなかでも、はっきりいってメチャクチャ好きなシーンの一つなのになんで一瞬忘れてたんだ自分・・・
ところで、「天使とスズメ・・・」の出典がハイネだということは、この場面の後に続くハリーとダナの会話から分かるのですが、ハイネについては名前を知っているだけで、長い間どんな詩人かよく知りませんでした。
何となくイメージ的に恋愛や叙情的な内容の詩を書いた人かなあと思ってたのですが、今年になってから読んだある本の中でハイネが述べた言葉だという下記のような文章を見つけました。
「・・・彼は彼の上に詩人の月桂冠を欲しない、けれども彼は彼の棺の上に帽と剣とを要求する、何となれば彼は常に革命の一兵卒であったのだから」
19世紀のドイツでハイネは漂白と迫害のうちに老い、最後はパリで客死したそうです。
その詩に因んだ捨て台詞が咄嗟に出てくるほどグレアムが親しんだ詩人が、単なる恋愛の詩人なんかでなくそういう生き方をした人であったことは、はっとさせられるとともにすごく納得の行くことでした。
さらに驚いたのは、今回この文章を書くために上記の本を改めて見返していたら、なんとハイネのことを「ハリー」と呼んでいるんですね。
三原先生はご存じでフランクファーターにハリーとつけたんでしょうか・・・ でも、考えてみれば、ハリー何でグレアムのセリフがハイネだとすぐ分かったんだ?w
フランクファーターは実は昔文学少年だったのかなあ・・・グレアムは「自分はフランクファーターになれる」と言ってたけど、ハリーも昔理想に燃えてたのが、現実の壁にぶち当たって根性があのように曲がってしまったのかしら・・・
10年以上読み返していない原作ですが、こうしてみると、再読してもまだまだ新たな発見がありそうだなあと思えますw
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