The little birds in the green woods #12 (「はみだしっ子」です)
アパートでグレアムたちの帰りを待つサーニンとマックスのところへ病院からアンジーが電話を掛けてきたとき、すでに日はすっかり暮れて夜になっていた。
「え!グレアムが?」
「・・・今、先生の診察を待ってるところだ。オレは今夜はアパートへ帰れないけど、お前らだけでも大丈夫か?」
電話を取ったサーニンは受話器の向こうでアンジーが強張った口調で言うのを聞いた。
「ボクもそっちへ行くよ!どこの病院なの?」
アンジーから病院への道順を聞き受話器を置いて振り返ると、マックスが今にも泣き出しそうな顔をしてすぐ後ろに立っていた。
「グレアムどうしたの・・・?」
「バイト先で倒れたんだ。オレは今から病院へ行くけど、お前も一緒にくるか?」
「グレアム、病気なの・・・?」
サーニンの言葉を聞くと、マックスの大きな瞳にみるみる涙が盛り上がった。
「泣くなよ!」
サーニンに怒鳴られてマックスはびくりと身体を震わせた。
「泣くなよ。まだ病気と決まったわけじゃないんだから」
「泣いてなんかいないもン!」
両眼の端に大粒の涙を溜めたまま、マックスは精一杯強がってみせた。そんなマックスにうなずいてみせると、サーニンは出口のドアへと向かった。
「行くぞ!」
一声掛け、サーニンはドアの向こうの夜の闇の中へ駆け出した。
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