脳内会話~「小鳥の巣」編
宝塚花組公演「ポーの一族」を観てきました。
演出・脚本は今や宝塚のみならずミュージカル界を代表する演出家・小池修一郎先生。
・・・とはいえ、私は小池先生の作品は中堅時代から結構観ているので、今回の先生による「ポーの一族」のミュージカル化に100%賛成するも、出来上がり具合については既に友人宛に歯に衣を着せぬ意見を色々書き送ったところなのでありましたw
舞台についてはまだ始まったばかりでこれからご観劇になる人が多いでしょうから、上記感想の中身はしばらく封印して、代わりに某所で書いたネタを再録したいと思います。
2016年に「ポーの一族」の40年ぶりの新作「春の夢」が発表されたときに思い浮かんで書いたものです。因みに舞台では「ポーの一族」「メリーベルと銀のばら」がメインのストーリーでした。
「皆さま、ようこそお集まりくださいました。本日は「『ポーの一族』と言えば・・・」というテーマで話し合っていただきます。では、早速始めてください」
「それは、何といっても『グレンスミスの日記』でしょう。一つの家族の三世代に渡る歴史をたった24頁で描き切り、一人の人物の人となりを数コマで表現してみせ、その後に描かれる死まで予感させる。しかも、この作品当時、萩尾先生は22歳かそこら。まさに天才の所業そのものです」
「あら、それを言ったら『メリーベルと銀のばら』ですわ。絵の完成度も増して、最初から最後まで名シーンの目白押し、特に人間の子供だった時代のエドガーと幼いメリーベルには、涙なくして読めませんわ。これこそ、他の全ての物語の起点に相応しい名作ですわ」
「ちょっと、お待ちになって。『ランプトンは語る』を忘れていただきたくないわ。過去の物語の登場人物が一堂に会して、エドガーの存在に迫るスリリングな内容。それまで別々に語られた物語が一本に収束して、ラストに起こった悲劇的な事件が、最終話『エディス』にそのまま繋がっていく。時を超えて生きる一族の物語の醍醐味を存分に味わわせてくれる、精緻な表現と完璧な構成。エヴァンズ家の家系図や年表といったマニア心を擽る演出もたまりませんわ」
「でも、『一週間』のような愛らしく軽やかな小品も『ポーの一族』に欠かせない魅力の一つですわ。他の作品のようにドラマチックではないけれど、幾重にも塗り重ねた色彩の最後の一刷毛ともいうべき趣があるといったらよいのかしら。小品ではあるけれど、これがあるとないとでは、作品全体の印象まで左右されますわ」
「・・・皆さまのご意見は、すべていちいちご尤もですわ。それでは最後に私の意見です。『ポーの一族』と言えば・・・やはり『小鳥の巣』かと」
(一同はっとして)
「『小鳥の巣』・・・」
「・・・これは、真打登場ですかな」
「そのようですわね」
「異議ありませんわ」
「では、全会一致ということで」
・・・という脳内会話が思い浮かんだ。
以上です。「小鳥の巣」編なのに「小鳥の巣」自体のことを全く語っていないのが思い入れの強さというものですねw
以下ちょっと舞台に関係することを。ネタばれご注意。
「Flowers」今月号の小池先生と萩尾先生の対談で、小池先生が今回の舞台でギムナジウムの制服を沢山作ったので、「トーマの心臓」「11月のギムナジウム」の舞台化をやってみたいみたいなことを言われてたのですが、別に今回の舞台のまんま続きで「小鳥の巣」をやればいいのに・・・と思いましたw(でも、もしやるとしたら、大劇場ではなくバウホールで是非!)
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