ユニコーン

別の場所に書いた感想の転載です。

ストーリーの最重要部分に触れてますので、未読の方はくれぐれもお気をつけくださいませ~!!


十代の頃、「エディス」の最後のページを読んだとき、ポーの一族という物語にこれより後の話はないのだと固く思い込んだ。物語は完璧な輪を描いて閉じ、もう先へは行かないのだと。エドガーが燃えて消滅してしまったとは思わなかった。どこかで眠り続けている姿が思い浮かんでた。でもアランを失って一人で生きているエドガーは全く想像できなかった。2年前に「春の夢」でポーが再開したとき、「エディス」後ではなく、過去の話だったけれど、エドガーに再会できたと思った。

これが40年と2年前、「エディス」でポーが終わった後、現実の世界で起こっていたこと。「ユニコーン」の第1話を読みながら、不思議なくらいこの現実とのリンクを感じていた。この40年余という現実の歳月をメタ・フィクション的に「ポーの一族」の世界で再現したらまさにここに描かれた風になるんじゃないかと。

もっとも、これは少し落ち着いたから考えられたこと。初めは何十年もの思い込みのせいで気持ちの整理がつかないまま読んでいた。そして3回目を読み直しているとき、突然、理解が降ってきた。

「エディス」より先の物語は考えられない。アランを失ったエドガーが一人で生きる物語は想像できないから。然り。でも、エドガーは生きていた。そして40年後の2016年に姿を現した。

ならば、アランは?エドガーは2016年の世界に生きてる。そして、アランはメリーベルのように決して手の届かない異次元の壁の向こう側へ完全に行ってしまった訳ではない・・・

この可能性を考えて、ふと不安になった。それはあまりにも禁忌に触れすぎているのではないか?でも、もう遅い。もう私は完全にそう願い始めてしまっている。

どうかどうかどうか、この願いが叶いますように。神様、物語の神様、仏様。そして誰より萩尾先生。どうか・・・

13th hour garden

表のブログ“Nowhere Garden”には載せない記事のために新たに開設した裏のブログです。 サイト名はPhilippa Pearceの“Tom's Midnight garden”にちなんだもの。真夜中の13時に時を打つgrandfather clockからつけました。 表も裏もどちらのサイト名も、存在しない庭という意味では同じになります。

0コメント

  • 1000 / 1000