三太登場

文庫第4巻。この巻はいきなり三太登場のシーンから始まります。

以前「タイトルに問題あり」でも書いたけど、最初に箱根編を読んだ頃はまだ三太=剣望くんという図式が自分の中で定着してなかったので、ここから、小鉄が竜神校に転入してくるあたりまでは自分の中で、剣望くんは100%“三太”でした。・・・はい、つまり、性格も言動も全て見たまんま(笑) 世間ずれしていて小生意気な物言い、生活のためには手段を選ばずを地で行く行動、非合法的手段も鮮やかにこなす特殊技能と己の腕前に対する自信(!)、それでいてどこか影のある雰囲気。そして、“三太”としてのハイライトシーンといえば、やっぱり警察の車を目前にして、名取古手川の客人コンビに見つかっちゃうところ。保身を図る演技、そして一瞬で拳銃を奪い取る技の鮮やかさ。拳銃持った相手にもひるまない度胸。最初読んだころはあまり知識もなかったのですが、何度か読み直すうちに、拳銃を構えた瞬間に撃鉄を起こしていることに気が付き、市東先生、流石!と思いました。名取古手川を縛って立ち去るときの不敵な横顔もすごくカッコよかった。

終始、功利的な発言をしている“三太”だけど、本当の性格はそうでもないんじゃないかという面が表れてたのもここの場面だと思います。いくら自分の腕に自信があったとて、拳銃を持った二人のやくざ相手に出会って間もないおじさんとの約束を果たすために自分の命を危険に晒すような子が功利的な訳がない。

この後、小鉄やキタさんの剣望くん探しが始まって、“三太”には「剣望狭霧」という本当の名前があるんだということをようやくしっかり認識するようになったのですが、どこか最初に読んだ“三太”という存在の感覚はずっと残っていて、剣望くんという少年の中にいるもう一人の少年を見るような不思議な魅力を感じます。

13th hour garden

表のブログ“Nowhere Garden”には載せない記事のために新たに開設した裏のブログです。 サイト名はPhilippa Pearceの“Tom's Midnight garden”にちなんだもの。真夜中の13時に時を打つgrandfather clockからつけました。 表も裏もどちらのサイト名も、存在しない庭という意味では同じになります。

6コメント

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  • blue moon

    2016.06.27 07:13

    @sika剣望くんの演技は基本忍びとしての演技だと思ってるので、小鉄より演技が下手とは思わなかったですね~ 素の剣望くんは、演技のできない人だと思いますw だから、忍びとしての振る舞いとの間に葛藤があるので、結局非情になりきれない・・・とこが、そーゆータイプに弱い人間(私だw)を狂わせる(笑)のかと。
  • sika

    2016.06.26 15:10

    狭霧くん=ピュアの象徴なので…私の中で(笑) 本郷なんてチョロいと思って演技してるんじゃなくて、生きてくために本能で嗅ぎつけた結果の演技であって欲しいです^^; 小鉄に比べて、狭霧くんは緊急時以外は演技が下手なイメージがあり、そうであって欲しいなんて…。 なんか若いアイドルに夢見てるおばちゃんみたいな心境になってきました。
  • blue moon

    2016.06.26 12:22

    @sika>演技じゃないと私が困ります え、何でなんですか?? >案外したたか面 必殺編の剣望くんはいわは二重スパイのような立場だから、小鉄以外の人間には終始計算した態度をとってると思ってますw